敗戦知らずに2年…「木の上の軍隊」を小学生が追体験 伊江島


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 【伊江】伊江小学校(小波津京子校長)は、伊江島の戦いの悲惨さを知り平和を願う気持ちを育てる狙いで、1年生から6年生まで学年に応じたカリキュラムを設定し、島内の戦跡巡りや戦争体験者の話を聞くなどの平和学習を実施している。

「ニーバンガズィマール」の樹の下で宮城孝雄さんから話を聞く伊江小3年生=6月24日、伊江村字西江前

 伊江小学校3年生は6月24日、「ニーバンガズィマール」を訪ね、関係者の宮城孝雄さん(西江前区在住)から話を聞いた。「ニーバンガズィマール」のニーバンとはガズィマール(樹木)のある宮城家の屋号である。このガジュマルの木の上で、うるま市出身の佐次田秀順さんと、宮崎県出身の山口静雄さんの2人の日本兵が、日本の敗戦も知らずに1945年から47年までの2年間、米兵に気付かれないように身を潜め生活をしていた。

 宮城さんは2年間、木の上で生活をしていた2人の様子を話し、その後この実話を基に書かれた、真鍋和子著の「ぬちどぅたから 木の上でくらした二年間」と舞台劇「木の上の軍隊」を紹介した。

 「ぬちどぅたから 木の上でくらした二年間」には、厳しかった樹上生活の様子が記されている。「木の上の軍隊」は、井上ひさしさんの原案で蓬莱竜太さん作、栗山民也さん演出により制作された。

 宮城さんは「今、日本の中では戦争はなく平和で安心して生活できていることは素晴らしい。今日をきっかけに沖縄戦や平和について考えてほしい」と話した。子どもたちは「戦争はやらない方がいい」「戦争は怖い」「戦争の時は学校に行けないから嫌だ」などの感想を述べた。

 「ニーバンガズィマール」は、県内の名木百選にも選定されている。今では平和学習の一環として民泊をはじめ県内外から多くの生徒や一般の観光客も訪れる。

 (知念光江通信員)