課題は水際対策の強化 鍵を握る沖縄県と観光業界の連携<検証 緊急事態宣言延長>3


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空港内に設置されたPCR検査会場に検査を受けに訪れる旅行客=8日、那覇空港

ワクチン接種当日に県から「中止」連絡 加速化に陰り から続く

 新型コロナウイルスのワクチン接種を進めるのと同時に、緊急事態宣言の解除に向け喫緊の課題となっているのが水際対策の強化だ。沖縄はこれまで、県をまたぐ人の移動が活発化した後から感染が拡大するケースが多かった。専門家は移動前や空港でのPCR検査の重要性を訴える。

 県の専門家会議の委員で、県立南部医療センター・こども医療センター感染症内科の成田雅医師は、県の水際対策の不備と強化の必要性を指摘し続けてきた。国は今回、沖縄へ向かう希望者に出発地での無料のPCR検査や抗原検査の導入を決めた。

 成田医師は「官民一体でこの機会を実効性のある方策づくりに生かさなければならない」と述べる。成田医師は5日の県の専門家会議で水際対策の強化案を改めて提案した。出発地の空港で搭乗ゲートを通過する際に、渡航前72時間以内の陰性確認証明書かワクチン接種証明書をQRコードで読み込んで通ってもらう仕組みだ。

 検査を受ける人に対し、レンタカーやホテルの割引などインセンティブ(特典)を付けるなど、県と業界を挙げた取り組みも求めている。成田医師は、検査を受けられなかった人のため、到着地の那覇空港での補完的な抗原検査も提案し、県も態勢整備に向け作業を進めている。

 PCR検査と合わせ1日最大で千件の検査を目指す。感染力が強いとされるデルタ株は既に県内に持ち込まれている。今後、人流の増加に伴い感染が爆発的に広がる懸念も大きく、成田医師は「渡航前検査の実効性をどれだけ高められるかが課題だ」と強調した。