このままでは経済“窒息” 打撃長期化、結婚式場廃業も<深まる苦悩 沖縄経済>1


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
緊急事態宣言の再延長を受け、休業期間を8月22日までに変更した飲食店の張り紙=12日、那覇市内

 新型コロナウイルス感染拡大に伴って沖縄県に適用されている緊急事態宣言が継続され、12日から6週間の再延長期間が始まった。県内では4月にまん延防止等重点措置の適用を受けて以降、飲食店の時短営業や酒類の提供自粛、県外との往来自粛など、長期にわたって経済活動が制約されてきた。閉塞(へいそく)感が強まる中、さらに観光最盛期の夏休み時期にまで緊急事態宣言が及ぶことなり、各方面から「このままでは経済が“窒息”してしまう」と不満や反発が噴き出してきている。苦悩を抱える現場に迫る。

 6月30日、糸満市西崎町の結婚式場「サムシング・フォー西崎」が25年の歴史に終止符を打った。

 本島南部地域で数少ない専用結婚式場として、これまで4300組のカップルが人生の節目を飾り、週末のエントランスは招待客でにぎわった。しかし、新型コロナが感染拡大した2020年4月以降、まともに結婚披露宴を催すことができないまま、シャッターを下ろすことになった。

 既に本島中部では3月、うるま市田場の老舗「ニュー三和」が廃業している。コロナ収束後まで耐えるつもりでいたサムシング・フォー西崎も、5月に4度目の緊急事態宣言が発令されたことを受け、もはや事業継続は困難と判断した。支配人の男性は「思い出の場所をいつまでも残したかった。無念だ」と悔しさをにじませた。

 緊急事態宣言下では、酒やカラオケを提供する飲食店などに休業が求められる。影響は飲食店や居酒屋ばかりではない。結婚式場も、酒を提供する場合は休業の対象となる。酒を提供せずに宴席を開催するという場合も、時間の制限や少人数での開催という条件が求められる。

 沖縄ローカルウェディング協会によると、21年に新規で入った結婚式の予約はほとんどないという。結婚式に関わる業種も多く、美容や衣装、食材や酒の卸など、影響は広範囲に及ぶ。協会担当者は「先が見通せなくなり、来年挙式を予定している客にもキャンセル希望が生じている。マインドが閉じてしまっている」と業界の窮状を訴える。

 経営体力を削られ、事業の継続を断念する県内企業が表れるほどにコロナの影響が深刻化する中で、政府は8日、緊急事態宣言を8月22日まで6週間延長すると決定した。

 あるブライダル関係者は「既に倒れる寸前だ。これ以上どうしろというのか」と頭を抱えた。

(中村優希、沖田有吾)

観光業界が最後の抵抗「感染減ったのに」副知事を取り囲む場面も に続く