ウニ×島桑の葉=急成長 陸上養殖でブランド化の夢 浦添宜野湾漁協


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浦添市の特産である島桑と海ブドウを使って養殖されるシラヒゲウニ=5日、浦添市の牧港漁港

 【浦添】沖縄県浦添市の牧港漁港で、市の特産である島桑を使ってウニを陸上養殖するプロジェクトが進行している。5日、養殖したウニを試しにいくつか割ってみたところ、25グラムを超える実(生殖巣)が採れた物もあった。養殖を手掛ける浦添宜野湾漁協の関係者や浦添、宜野湾両市の関係者は「事業化に向けた第一歩だ」と自信をのぞかせる。高級食材であるウニが浦添と宜野湾の新たな漁業ブランドとして確立される日も近いかもしれない。

 ウニの養殖は、2020年7月にタッグを組んだ浦添と宜野湾の両市が「漁業再生支援事業」の一環で始めた。同事業は水産庁の補助金を活用し、浦添宜野湾漁協の武藤浩司さん(60)ら漁協メンバーが市の委託を受け、取り組んでいる。

島桑を使ってウニを陸上養殖する武藤浩司さん(手前)ら漁業関係者と浦添、宜野湾両市の関係者=5日、浦添市の牧港漁港

 養殖しているウニは、シラヒゲウニと呼ばれる県産ウニで昨年の9月に本部町にある県栽培漁業センターから稚ウニを約500匹購入した。餌は浦添市の特産である島桑の葉と漁港内で養殖される海ブドウの2種類。ウニは通常、コンブやワカメなどの海藻類を餌に育つが、浦添市によると、県の実験でウニに桑の葉など陸生の植物を与えたところ、通常より大きく成長したという。そこで、市内のさまざまな場所で栽培されている島桑を餌にすることに決めた。

 県から購入した稚ウニは当初、約1センチの大きさだったが、約9カ月の間に平均8センチ前後に成長した。

 海ブドウの養殖を手掛ける武藤さんは「桑の葉を餌に与えると成長が早い。最初はサトウキビなども与えたが変化がなかった。今は試験養殖だが事業化に向け努力を続けたい」と述べた。

 武藤さんが養殖しているウニは今月16日に浦添市役所で職員向けに試験販売する予定。