沖縄・奄美世界遺産 竹富町長「自然の力生かす」 西表島、地元ガイドからは不安


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西表島の世界自然遺産登録を祝し、くす玉を割った西大舛高旬竹富町長(左)と竹富町議会の新田長男議長=26日午後7時6分、竹富町役場

 西表島を有する竹富町の町役場では、西大舛高旬町長らが登録決定の瞬間を静かに見守った。新型コロナウイルス感染症対策のため、会場となった部屋に入れたのは一部の関係者のみ。世界遺産登録に向けた取り組みを進めてきた、町の世界遺産推進室の職員らは、執務室でインターネット中継を見守った。
 
 出席者にリラックスした表情が浮かんだのは、西大舛町長らが世界遺産登録を祝したくす玉を割る頃になってから。くす玉を割ると、部屋の外に集まった役場職員らから拍手が起こった。

 西大舛町長は登録決定後の記者会見で「これからは沖縄、日本だけではなく世界の一員という共通認識を、われわれは持たないといけない。自然の力を生かすことが求められている」と話した。

 通事太一郎世界遺産推進室長は「一つの節目として感謝したい。西表の観光利用をどのように進めていくかについての課題に、改めて取り組んでいきたい」と気を引き締めた。

 ただ、地元の西表は歓迎ムードだけではないようだ。特に自然観察ガイドからは「今回の登録を喜ぶガイドはいないのではないか」との声も漏れる。西表島カヌー組合の山本英典組合長(43)は「観光への課題が山積みだ。世界遺産登録が話題になればなるほどマナーの悪い観光客が増え、自然に負荷をかけないかが不安だ」と複雑な心境を明かした。

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