辺野古サンゴ移植、沖縄県が条件付き容認へ 最高裁での敗訴受け


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2018年の潜水調査により観察されたシコロサンゴ。海水の透明度は良く、群体がはっきりと見える=2018年1月19日、辺野古崎沖(ダイビングチーム・レインボー提供)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴うサンゴ移植を巡り、県は28日までに県の訴えを退けた最高裁判決を受けて、条件を付けて移植を認める方針を固めた。県は28日夕方に記者会見を開いて発表する見通しで、沖縄防衛局には同日中にも通知する。

 移植の条件として、県はサンゴの生存率を高めるために水温の高い時期や繁殖時期、台風シーズンを避けることなどを沖縄防衛局に求める見通し。

名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で、土砂を基地内に運び込む台船=2021年2月

 辺野古新基地建設を巡って沖縄防衛局は2019年、県にサンゴ約4万群体の移植許可を申請した。埋め立て予定地の軟弱地盤の存在を根拠に県が判断を保留する中、農林水産相が県に移植を許可するよう是正指示を出した。県は指示を違法として提訴していたが、今月6日に最高裁が県の上告を棄却し、農相の指示を適法とした福岡高裁那覇支部判決が是認された。

 最高裁判決では軟弱地盤の情報が不十分な中、判断を保留した県の姿勢を「県が許可しなかったことに違法性がない」などとする反対意見も付いていた。県担当者は「反対意見は付いているが、(是正指示を適法とする)判決に従う判断になった」と説明している。

 

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