国と県のサンゴ類の訴訟を巡る最高裁判決で、裁判官5人のうち、宇賀克也裁判官と宮崎裕子裁判官が反対意見を付けた。是正指示の時点では、埋め立て予定地の軟弱地盤の改良工事に関する情報がなく、新基地建設を完成させることができるか不明確だったとし「県が許可処分をしなかったことは違法とは言えない」と指摘している。
宇賀氏は、地盤改良で当初の設計概要に比べて約6倍の量の砂を使うことや、深度約70メートルまでくいを打ち込むなど、「きわめて大規模な工事が必要になる」と記述。農林水産相が是正を指示した時点で県が許可・不許可を判断できないとしたことは「情報が十分に得られなかったからで、県の責に帰すべき事案ではない」と説明した。
行政法の第一人者とされる宇賀氏は2019年3月から最高裁の裁判官を務める。東大大学院教授を務めていた。県関係者は「司法行政を長く歩いてきた人たちと違い、宇賀氏は行政法の観点から良心的な意見を述べてくれると期待していた」と語った。
弁護士出身で18年1月から判事を務める宮崎氏は、宇賀氏の意見に同調した上で補足を述べた。仲井真弘多元知事の埋め立て承認時に、環境保全に配慮しているという要件が認められていることについて、軟弱地盤の判明で「実質的に無意味になっている」と記した。承認が有効であることを理由に、それに伴う要件が今も満たされているとした多数意見の形式的な議論を批判した。
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について「合憲」と判断した最高裁判決でも宇賀氏と宮崎氏は反対意見を付けていた。
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