沖縄県が沖縄防衛局に対し、サンゴ類移植の許可をするに当たって「水温の高い時期」や「台風の時期」などを避けることを求めた条件には法的拘束力があり、国は順守して作業するべきだ。ただ、許可の翌日に移植を強行しており、条件を順守する気はさらさらなく、新基地建設に向けた作業の既成事実を積み重ねようとしているのだろう。
県は沖縄防衛局に対して行政指導をする意向だが、行政指導に強制力はないので、国が従わない場合は、なすすべがない。ただ許可につけた条件に従わない場合は許可を取り消すことができる。その場合は沖縄防衛局は取り消しを争ってくるだろう。
県が許可を取り消すと、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づいて農林水産相に審査請求をしてくる可能性が高い。農相は許可取り消しは違法だとして、身内の判断で許可取り消しを取り消すはずだ。結局、沖縄県にとって望ましい結果にはならないだろう。むしろ、移植の許可条件は、防衛局が現在申請している工事設計変更の「承認を得ること」とするべきだった。
私は、サンゴ移植の許可より、設計変更に毅然(きぜん)として対応することが重要だと考える。軟弱地盤の存在が明らかになり、県民投票で県民の明確な反対の意思が示されるなど、仲井眞弘多元知事が埋立承認をした時とは大きく状況が変わっている。設計変更を不承認にするとともに、場合によっては埋立承認の再撤回に踏み切ってもいいのではないか。
(行政法)