【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は2日、埋め立て予定海域のサンゴ類の移植許可を県が撤回したことを不服として、行政不服審査法に基づき撤回処分の取り消しを求めて農林水産相に審査を請求した。審査請求の裁決が出るまで許可撤回の効力を止める執行停止も同時に求めた。同日、防衛省で臨時会見し、申し立てを発表した岸信夫防衛相は、移植作業はサンゴへの影響に配慮して行っており「許可を取り消されるべき理由がない」と県の処分を批判。撤回処分の執行停止が認められ次第、移植を再開する考えだ。
水産庁が県の意見を聞いた上で、速やかに執行停止の是非を判断する。審査請求に対する判断には時間がかかる可能性がある。
これに対し玉城デニー知事は2日、「許可処分の撤回は水産資源の保護培養のために必要で、関係法令などに基づく適切な対応だった」と正当性を強調した。「今後、農相に県の正当性を主張していく」と述べた。
一方、岸氏は、一般私人の権利救済を目的とした行政不服審査法を、政府機関が使うことに批判があることについて「(制度が)簡易迅速かつ公正な手続きの下で広く行政庁に対する不服申し立てができる制度だ。(防衛局も)審査請求を行うことが認められている」と述べた。
サンゴ移植を巡っては、国を相手取った訴訟で敗訴が確定した県が7月28日、移植を許可。サンゴの生残率を高めるため高水温期や台風の季節を避けることなどを条件とした。
防衛局が29日に移植を開始すると、玉城デニー知事は30日に許可を撤回した。