那覇高と兵庫高の生徒たちが2日、沖縄戦当時の県知事だった島田叡(あきら)氏の足跡などを通して、それぞれの県で取り組んでいる平和学習や、平和の継承についてオンライン上で意見交換した。「島田叡生誕120年記念事業・兵庫・沖縄友愛50周年交流事業」(主催・兵庫県、兵庫県青少年本部)の一環で、生徒たちは同日の話し合いなどを基に、共同の平和メッセージ(友愛宣言)を今後作成する予定。
兵庫県出身の島田氏は、沖縄本島への米軍上陸が迫る1945年1月に沖縄県知事に就任した。疎開を促し県民保護や食料確保に尽くし、同年6月末に糸満市摩文仁で消息を絶った。
同事業へ参加している生徒たちは、全員2年生。那覇高からは野球部キャプテンの具志大輔さん(17)、松田侑さん(16)、マネジャーの田村知瑳乃さん(17)の3人が参加している。7月14日には、3年生を対象とした島田氏を取り上げた授業を率先して受けるなど、改めて島田氏の足跡を学んだ。
8月2日にオンラインで開催された、那覇高と兵庫高の生徒たちの意見交換では、互いの県で取り組まれている平和学習の違いや課題などを話し合った。
兵庫高の山田美羽さんは「修学旅行で沖縄へ行き、ガマの前で沖縄戦体験者から話を聞くまでは、実感を持って考えられない部分もあった」と打ち明けた。沖縄では6月23日を慰霊の日として、休日となっていることにも驚きを示した。
同校の熊谷菜佑さんは「兵庫でも沖縄のように、学校の授業時間を割いてもっと平和学習に取り組むべきだと思った。伝えていくことが大事だ」と話した。
那覇高の田村さんは「本土の人は、沖縄よりも平和学習の機会が少ないかもしれない」とし、松田さんは「自分たちは沖縄で当たり前のように沖縄戦を学んでいるけど、県外は学びにくいのかなと感じた」と述べた。具志さんは「島田叡という人物を通して、兵庫について学ぶことができれば」と期待を示した。