【識者談話】辺野古サンゴ移植 高水温で白化・死滅の可能性 大久保奈弥氏(東京経済大准教授)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 サンゴは移植後に高水温にさらされると、移植と高水温の二重のストレスにより、白化して死滅する可能性は非常に高い。ましてや移植技術も十分に確立されていない中、不適切な移植を強行すれば定着は難しく、周辺環境への影響も甚大であることは明白だ。だが、防衛省はオキナワハマサンゴに続いて再度その条件を無視し、またも夏の暑い時期に約830群体のサンゴの移植を始めた。

 水産資源の保護を優先する立場であるはずの農水相の判断は誤っており、これまで水産庁が行ってきたサンゴ増殖の手引きに書かれている内容さえも無視していると言わざるを得ない。

 防衛省自らが設置した有識者会議「環境監視等委員会」のサンゴ関連の研究者は、委員会が始まってからサンゴを守るために何の役割も果たしていない。彼らは科学も論理も都合よくねじ曲げ、あるいは無視して防衛省の行為にお墨付きを与えるだけの存在だ。同じサンゴの研究者として残念でならない。辺野古新基地建設そのものが環境破壊行為であり、世界的に重要性が叫ばれているSDGs(持続可能な開発目標)の精神に反している。

 (生物学)