沖縄県立南部医療センター、予約入院を停止 コロナ対応と救急医療を優先


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沖縄県立南部医療センター

 新型コロナウイルスの感染者急増により、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(和氣亨院長)は11日から当面の間予約入院を中止すると発表した。入院停止は初めてとなる。中部病院(玉城和光院長)は10~13日、16~20日の間一般外来を停止し、北部病院(久貝忠男院長)は歯科口腔外科と眼科の予定手術を20日まで中止する。10日の新規感染者は332人。県立病院は今後も入院患者が増加すると想定し、一般診療を制限することでコロナ対応と救急医療を維持することを決断した。

 南部医療センター・こども医療センターは、和氣院長によると、コロナ対応に特化し、32床あるコロナ病床を、集中治療室(ICU)などを活用して57床に拡大するという。センターは24時間体制で小児を含む重症患者に対応できるため、県内医療の「最後のとりで」として病床を温存してきたが、周辺医療機関の対応も限界という。

 和氣院長は「うちがいっぱいなら、県全体のコロナ医療が飽和状態ということだ」と危機感を示した。小児の重症化事例にも備えるため、「小児用の人工心肺装置ECMO(エクモ)を早急に手配したい」と対応を急ぐ。

 中部病院はこれまで一般外来を制限してきたが、同日、停止へと踏み切った。玉城院長によると、入院患者の早期退院により病床を確保するためで、ほかの診療科の医師や看護師をコロナ対応に充てているという。中等症から重症化する事例が多く、基礎疾患のない30代の患者でもエクモ治療が必要になるなど、常にマンパワーが必要という。

 玉城院長は「今後は高齢者の入院増も想定されるが、病床を増やし続けるのは難しい。県民にはこの危機感を共有していただきたい」と、強く訴えた。

 宮古病院は2日から不急な検査、予定手術を延期している。

 

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