特区税制見直し「給与水準向上」要件に 軍用地譲渡に特例<沖縄振興基本方針>


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嘉手納飛行場

 内閣府が24日に示した「新たな沖縄振興策の検討の基本方向」は2022年度以降の新たな沖縄振興策の骨格と位置付けられ、法整備などの議論のたたき台にもなる。子どもの貧困対策の推進など、現振計の10年間で表面化した問題を解決する姿勢が示された。跡地利用推進法の延長・拡充、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究規模拡充、揮発油税(ガソリン税)について、財政支援や必要な措置を講じると明記した

<税制>見直しや要件追加に

 沖縄関係税制は、制度活用の伸び悩みや国の施策を踏まえて、見直しが示された。1世帯当たりの県民所得が全国最下位となっていることを踏まえて、「観光地形成促進地域制度」と「情報通信産業振興地域・特別地区」、「国際物流拠点産業集積地域」は、新たに給与水準向上などを認定要件に付け加える。

 さらに「産業高度化・事業革新促進地域」税制は、給与水準向上要件を付したほか、対象事業に脱炭素分野やデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を追加した。

 「経済金融活性化特別地区」は税制を優遇する資産の取得額を見直す。離島振興のため、離島市町村の「旅館業用建物などの課税の特例」は対象業種の拡充を打ち出した。

 一方、沖縄復帰特別措置法に基づく「揮発油・地方揮発油税」(ガソリン税)の軽減措置について、趣旨を踏まえて必要措置を講じるとした。

<跡地利用>軍用地譲渡に特例

 駐留軍用地の跡地利用については、2012年施行の跡地利用推進法に基づく公有地の先行取得が進展した結果、計画的な跡地利用が進んでいるとした。

 日米が合意した統合計画に基づき今後、嘉手納基地以南の1000ヘクタール規模の軍用地が返還されることを踏まえ、「返還の時期を踏まえつつ、計画的かつ効果的な跡地利用の推進を図ることが重要だ」とした。

 そのため、跡地利用推進法の延長・拡充とともに、特定駐留軍用地内の土地を譲渡した際の譲渡所得の課税の特例についても「必要な措置を講ずる」とした。

 西普天間住宅地区跡地で整備が進む健康医療拠点は跡地利用のモデルケースだとして、「着実に整備を進める」とした。