名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、沖縄県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟の控訴審第1回口頭弁論が26日、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)で開かれた。玉城デニー知事が意見陳述し、「この裁判は、地方自治の理念・尊厳を守る覚悟が問われている」などと訴えた。国側は控訴棄却を求めた。即日結審し、判決は12月15日に指定された。
昨年11月の那覇地裁判決は、県の訴えは一般公益の保護を目的としており、裁判所の審理対象に当たらないとして却下。県に原告としての適格もないとした。県による埋め立て承認撤回や、国交相裁決が適法かどうかは示さなかった。判決を不服として、県が控訴した。
26日の控訴審初弁論で玉城知事は、一審判決が認められれば、政府は容易に自治体の判断を覆すことができ、自治体側には救済の道が全くなくなると指摘。「一審の判断は、地方自治の尊厳などなきに等しいと突き放したようなものだ。国と地方があるべき姿を取り戻すため、裁判所には公正な判断をするよう希望する」と述べた。県側代理人の仲西孝浩弁護士も裁判所の審理対象として認められることなどを主張した。
国側は、行政事件訴訟法に基づく訴訟は行政が行ったことによって、国民の権利や利益の制約を受けた場合に司法に救済を求めるものだと主張。「県の訴えは訴訟の対象にはならないもので訴えが不適法であることは明らかだ」と反論した。