玉城知事が法廷で訴えた「日本の全自治体で起き得ること」とは


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意見陳述を終え、取材に応じる玉城デニー知事=26日午後、県庁

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が国を相手に起こした抗告訴訟の控訴審で26日、法廷での意見陳述に臨んだ玉城デニー知事。福岡高裁那覇支部の裁判官らに、「憲法が保障する地方自治の理念・尊厳に対する重大な危機だ」と沖縄だけの問題にとどまらないことを訴えた。

 玉城知事は26日午後3時前、スーツ姿で入廷した。谷口豊裁判長に促されると、一礼して証言台に立った。陳述では沖縄が米施政権下で自治が認められてこなかった歴史や、過重な基地負担などに触れた。証言台から正面の裁判官3人を見据え「地方自治の担い手としてその尊厳の確立を責務とする知事として、この問題に声を上げ続けなければならない」と力を込めた。

 閉廷後、県庁で会見し「必要な主張、立証は出尽くした。まずは判決を待ちたい」と語った。自ら法廷に立った意義を問われ、「裁判で争われている問題は日本の全自治体に起き得ることだ。問題の本質から目を背ければ、取り返しのつかないダメージを(地方自治体の未来に)与えてしまうとはっきり伝えることができた」と手応えを示した。

 沖縄防衛局が県に申請した埋め立て予定区域にある軟弱地盤改良工事など設計変更にも触れ「判決の結果を待ちながら審査も厳正に進めたい」とした。判断時期などについては「細かい点まで精査する必要がある」として、言及しなかった。