29歳広告マンが副業でパッションフルーツに情熱を注ぐ理由


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パッションフルーツの需要拡大などに取り組む、台湾在住の山城大さん

 「沖縄パッションフルーツの未来を変えたい」。そう話すのは、台北市在住で沖縄情熱農園=糸満市=の共同代表者を務める山城大さん(29)だ。

 沖縄の産業に貢献したいと琉球大学観光産業科学部に入学後、米国コロラド州フォートルイス大学でグッズマーケティング、タイ国立タマサート大学で社会変革型ビジネスを学び、在学中に父・山城秀正さん(70)と沖縄情熱農園を創業した。その後、貿易を学ぶため東京の商社で3年働き、ブランディングの仕事がしたいと台湾に渡った。

 現在、台湾の広告代理店で化粧品ブランドの広告マンをする傍ら、リモートで農園の事業に携わっている。農園ではパッションフルーツを無農薬で栽培し、従来種「情熱の女神」と、独自栽培に成功し新品種登録出願中の「蜜の女神」の2種類を育てている。どちらもJA規定の業界最高水準を超える品質だ。

 パッションフルーツは美容成分が豊富で、スーパーフードとして注目が高い。大さんはパッションフルーツの認知度向上で需要を拡大させ、収益性の高い農作物にすることで若手の新規就農者を増やし、品質向上につなげてファンを獲得するという、好循環を生み出したいと考えている。

 これまでの経験を生かしてマーケティングを実施し、コンセプト開発、オンライン直売サイト開設、ロゴ・パッケージ作成に着手した。パッケージは「手にした瞬間から食後まで、感動をもたらしてくれる果実にしたい」と、デザイナーの姉・名嘉涼子さんと手がけた。

 大さんは「おいしいパッションフルーツを全国の皆さんに食べてもらいたい。パッションフルーツが身近な世界をつくりたい。私たちの挑戦で、沖縄の生産者全体に良い影響が広がればと思っています」と、さらなる挑戦に向けて決意を新たにした。

(安里玉元三奈美通信員)