泡盛古酒はドライフルーツの香り 沖縄国税事務所が論文に特徴まとめ


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 泡盛を3年以上貯蔵した古酒について、貯蔵3年未満の一般酒に比べて「ドライフルーツ」の香りが強い特性が表れることを、沖縄国税事務所などが明らかにした。

 2019年度泡盛鑑評会に出品された一般酒11点、古酒32点を対象にそれぞれの香味を調べると、レーズンやブランデーを連想させる「ドライフルーツ」について、一般酒では弱い特性傾向である一方、古酒では強い特性が表れ、2種類で明確な違いがみられた。

 貯蔵年数と特性強度の関係では、ドライフルーツは貯蔵年数に比例して特性が強い傾向がみられた。代表的古酒香と知られている「バニラ」や「カラメル様」は、貯蔵年数と特性に明確な関係性は見いだせなかった。

 また、古酒は熟成でまろやかになると言われているが、調査では、一般酒と古酒で刺激感の差は判別できなかった。古酒は一般的に甘い香りが強いことから、まろやかな印象を受けて刺激を感じにくくなっているとみられる。

 調査は、沖縄国税事務所の相澤常滋主任鑑定官と、前同事務所鑑定官の宮本宗周氏が共同研究した。日本醸造協会誌の7月号に研究論文が掲載されている。

 相澤主任鑑定官は「ドライフルーツも古酒の特徴香の一つであることが分かった。香りの正体が解明できれば、風味をデザインする自由度が高まり、よりおいしい泡盛を製造するヒントになるのではないか」と話している。