辺野古の設計変更不承認 沖縄県、慎重に時期検討 国の対応見極めへ


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 辺野古新基地建設に向け地盤改良工事などを追加する沖縄防衛局の設計変更について、玉城デニー知事は不承認とする方針を固めているが、判断時期については慎重に検討を続けている。国の対抗措置の見極めや、11月が有力視される衆院選などの政治日程もにらむ。審査にきちんと時間をかけたい一方、長引きすぎると、国との裁判に発展した場合、不利になる可能性も考慮する必要がある。

 県関係者によると、今年夏ごろに不承認にする案もあったが、審査を続ける中で時期がずれ込んだ。玉城知事は10日の会見で「再度質問する可能性がある。しかるべき時期に判断する」と述べた。

 防衛局の申請から1年5カ月近くたち、県が当初示した審査期間の目安(163~223日)は今年7月ごろに過ぎた計算だ。県が判断しないまま大幅に時間が過ぎると、国が県に対し、設計変更を許可するよう是正指示を出す可能性もある。

 関係者によると、県は設計変更の審査を進める中で、国が早期に是正指示に踏み切ることはないだろうとの感触を得たという。これまでの新基地建設の許認可や裁判は仲井真弘多元知事の埋め立て承認が前提にあったが、設計変更は玉城知事が埋め立て条件に見合っているかどうか、一から判断できる。県の裁量が大きく、裁判でもそれほど容易には県の判断が否定されないと見込む。

 玉城知事は10日の会見で「大規模な地盤改良工事の追加、施工計画の見直し、環境影響の変化など変更は多い。(法律上、問題となる)不作為には当たらない」とけん制した。新型コロナウイルス対応に県職員の労力が割かれているとし「迅速な審査に少し影響している」とも付け加えた。

 県幹部は政治日程に言及し「(知事は)もう少し慎重に審査をしても大丈夫と判断したのだろう」と推測する。不承認判断が衆院選近くになれば、選挙の争点になるとの見方もある。

 (明真南斗、塚崎昇平)