【沖縄】校則の在り方が議論を呼ぶ中、沖縄市立宮里中学校(前(まえ)幸三校長、在籍954人)は来年4月から男女併用、着脱も簡便で衣替えもなくした新制服を導入することになった。中学校の男女併用制服は県内では珍しく、市内では初めての取り組みとなる。
制服変更の動きはジェンダーやLGBTQ(性的少数者)への関心の、急速な高まりが背景にある。同校の規則では男女の制服や頭髪などが細かく決められている。これまでに制服について相談に来た保護者もいたという。時代の変化を受け、校則の見直しも含めて機敏に対応した。昨年度から制服検討委員会を開催。生徒や保護者らのアンケートでは「新年度が楽しみ」との声があり、制服変更の賛成が7割を超えるなど歓迎されている。
検討委員会は学校、PTA代表、同校初期の卒業生、在校生、校区自治会役員らで構成し、これまで数回の会合を重ねてきた。その結果、ブレザージャケットの採用、ニットシャツ素材でポロシャツタイプ、冬季に女子もズボンで寒さ対策ができるなどの要件を確認した。シャツには「宮里」をローマ字のイニシャルで刺しゅうする。校歌に歌われる「若鷲」をモチーフにしたスピリッツマークを考案。ブレザーの内側にポケットを設け、創立年の「1985」「沖縄市立宮里中学校」、教訓の「知 徳 体」を織り込むなど、伝統もしっかり継承するデザインに仕立てた。
ブレザーは柔らかな黒色系、ボックスタイプのスカートとズボンは深い緑を配置するなど清涼感が漂い、ネクタイ、リボンの選択が自由。上下とも伸縮性、通気性に優れ、速乾性がありアイロンがけなしで着用できる。急速な成長でも買い替えは最小限に抑えられるのがポイント。
動画で新制服の特徴を説明した生徒会長の中村莉乃音さん(3年)は「冬場の寒さが苦手だった。自分は残念ながら新制服は着用できないが、ズボンが選択できるのは女子にとってはとてもうれしい」と生徒らの評判を代弁した。
新制服は職員室前の廊下に展示中。微調整は残っているが今後、宮里小と美原小や校区自治会でポスター掲示してアピールする予定。
前校長は「今の暑い時期、熱中症対策でジャージーや体育着での登校を可能としている。新制服はその面でも選択肢が広がる。洗濯などの煩わしさが軽減されるなど保護者にも優しい。子どもたちの多様な個性を大切にする、制服の変更への理解と協力に感謝している」と話した。
(岸本健通信員)
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