沖縄のバリアフリーは? 車いすトラベラー三代達也<未来へいっぽにほ>


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三代 達也(車いすトラベラー)

 これまでに出会った沖縄県民のほぼ全員が、僕にこう言った。「沖縄ってバリアフリー進んでないから大変でしょう」。果たして本当にそうだろうか。

 確かに、移動という側面ではなかなか難しい。バリアフリー対応バスが満足に整っていない沖縄では、自家用車を運転できない車いすユーザーの移動の自由度は下がると感じた。ではレストランなどはどうか。

 関東に住んでいる時、予約時に「車いすですが入れますか」と聞くと、「車いすは難しいですね」とバッサリ断られてしまうことが多かった。しかし沖縄は違う。移住して7カ月たつが、入店を拒否されたことはただの一度もない。

 関東にいた時との決定的な違いに驚いた。一見車いすで入るのが難しそうなお店でも、まず一声かけてくれる。「普段はどんなして入ってるの?」「何を手伝えばいい?」。受け入れたいという気持ちが最優先。その姿勢に感銘を受けた。

 おばぁ一人のお店で、介助が受けられずに入店できない時もあった。おばぁは最後まで、何とかしようとしてくれた。「うれしかったから、次は友だちを連れてまた来るね」と言って気持ちよく店を後にした。同じ“入れない”でも、この差はとても大きい。

 ふと、世界一周の旅をした時を思い出した。世界の過酷なバリアと戦う日々、いつも僕を助けてくれたのは、外国人の温かい心だった。確かに目に見える設備のバリアフリー化は、開発が必要な部分もある。しかし沖縄で育った人たちに根付いている、目には見えないゆいまーるの心が、何よりも大切なバリアフリーなのだということをぜひ知ってほしい。今後も福祉教育を通して、若い世代にもそんな沖縄の魅力を伝えていきたい。