歴史をつなぐボンベ鉦 今も現役、老人会集合の合図に 西原町棚原


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
ボンベ鉦を打つ比嘉猛さん=9月20日、西原町棚原公民館

 【西原】西原町棚原では毎月20日の午後1時にボンベ鉦(かね)の合図で老人会の会員が公民館に集まってくる。敬老の日の9月20日も副会長の比嘉猛さん(66)が、公民館脇の岩に登り、吊るされたボンベ鉦をハンマーで打った。「カーン、カーン、カーン、カーン」とゆっくり四つを3回たたいた。「少し速かったかな」と首をかしげながら降りてきた猛さんは「6月から鉦を打っているが、初心者なので先輩方に『ちゃーやいびーたが?』(どうでしたか?)と聞いている。少しは慣れたかな」と笑う。

 猛さんの父で元自治会長の貞祐さん(90)は「戦後ヤマトゥ(本土)から引き上げた時には、ボンベ鉦は既にあった。昔は人口も少なかったからよく聞こえたけど、今はアパートも増えたし聞こえなくなったなぁ。放送設備は、私が自治会長の時に設置したから、合図も鉦から放送に変更していった」と歴史を話す。

 城間盛順自治会長は「昔は青年会、婦人会、一般総会、幹部常会など鉦の合図が決まっていた。今は鉦を打つのは老人会とウマチーのカーン、カーン、カーンの三つを4回と、火事などの乱れ打ちぐらいか」と話す。

 敬老の日は80歳以上の住民に字からお祝い金と折り詰めを配った。不参加の方にはお祝い金のみ配った。城間自治会長は「戦後、地域を支えた皆さんに敬意を表する。ご長寿を祈念する」と述べた。

 町老人クラブ大会から比嘉貞祐さん、比嘉正一さん、比嘉美代子さんの3人が伝達表彰を受け、米寿の伊波信子さんと城間良作さんには町老連から米3キロ、棚原老人会からの金一封が新垣きよみ会長から贈られた。(小波津昭子通信員)