辺野古移設や沖縄振興で対立鮮明に 改憲にも賛否<衆院選政党・会派座談会>


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 19日公示、31日投開票が想定される衆院議員選挙に向け、琉球新報社は9日、県内政党や県議会会派の代表者ら8人を招いた座談会を開き、総選挙の意義や争点を議論した。自民、公明は新たに発足した岸田文雄内閣や自公連立政権の政策担当能力に「信任」を求めたのに対し、共産、立憲、社民、社大、にぬふぁぶしのオール沖縄勢は国政野党の共闘による「政権交代」を最大の争点にする考えを強調した。県議会会派「無所属の会」は安倍・菅政権を「一定評価する」とした。沖縄振興や基地問題の解決手法、憲法を巡って政策の対立軸が明確となり、新型コロナウイルスの感染防止や経済対策を巡って議論を交わした。(’21衆院選取材班)

衆院選に向け健闘を誓い合う県内政党・県議会会派の代表ら=9日午後、那覇市泉崎の琉球新報社

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設の是非を巡り、自民は普天間の危険性除去に向けて「やむを得ない」と容認したのに対し、オール沖縄勢力は19年の県民投票で「民意は示されている」として反対を明確にした。

 公明は「(同党県本としては)普天間の移設先は県外国外が良い」としつつも、解決に向けた玉城デニー知事の交渉能力が不足していると指摘。無所属の会は馬毛島への訓練移転などを進める「現実的な対応と提案」を打ち出した。

 憲法を巡り、改憲を目指す自民は「全国民挙げての議論」の必要性を訴えたのに対し、共産、社民、社大は護憲の立場を示した。立民、公明、無所属の会は議論すること自体は否定しなかった。にぬふぁぶしは「会として憲法の考え方に拘束はない」とした。

 沖縄振興では、自民が沖縄関係予算の減額について「リーダーとなる知事のビジョンが示されていない」と主張し、政府との交渉力などで玉城知事の県政運営を批判した。これに対し、立民は「本来国が予算を付けるべきベーシックサービスへの充当が遅れている」などの問題認識を示し、一括計上方式の在り方などを将来的に議論する必要があるとした。

 各党とも新型コロナ対策が衆院選の重要な争点だという認識を示し、空港・港湾での水際対策や検査の拡充、経済・家計支援などの対策を打ち出した。

 共産は「持続化給付金や家賃支援金の第2弾を実施する。沖縄でこそ早くやるべきだ」と中小企業や生活支援の強化を強調した。

 公明は政権内の提案でワクチン接種拡大や事業者支援策を実現してきたとし、「経済回復をしっかり自公政権で対応する」とした。

 社民は医療・保健所体制の拡充を訴え、「人流抑制に実効性を持たせるには、補償がセットでなければならない」と主張した。

【詳しく読む】

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▼辺野古移設の考え方は?憲法についての考え方は?

▼沖縄振興の評価と今後は?県内政局への影響は?