<衆院選1区・紙上討論>普天間移設の考え方、憲法改正について3氏の見解は


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米軍普天間飛行場(資料写真)

 琉球新報社が実施した衆院選沖縄1区の立候補予定者紙上討論で、共産前職の赤嶺政賢氏(73)、自民前職の国場幸之助氏(48)、無所属前職の下地幹郎氏(60)が米軍基地問題への解決手法、新型コロナウイルス対策、経済再生策などについて意見を交わした。基地問題で対立軸が鮮明になったほか、クロス討論では、政治姿勢を問う質問が上がり、互いに厳しい指摘が相次いだ。2022年度以降の沖縄振興の在り方についても意見は分かれ、各立候補予定者が目指す沖縄の針路を示した。(文中敬称略、’21衆院選取材班)


【普天間問題】

無条件返還求める 赤嶺氏
管理と運用を分離 国場氏
馬毛島へ訓練移転 下地氏

 

―米軍普天間飛行場閉鎖・返還問題への対応、在沖米軍基地の在り方は。

 赤嶺 普天間基地は即時閉鎖し、無条件で返還することが、危険性除去への一番早い解決方法である。辺野古新基地建設は、軟弱地盤問題もあり技術的に不可能で、税金の最たる無駄遣いである。辺野古新基地建設には、県民投票で7割以上が反対の意思を示している。民意に従い新基地建設は中止し、約2兆5500億円の関連予算は県民のコロナ対策に回すべきだ。経済発展の最大の阻害要因である米軍基地を返還すれば、新都心やライカムのように経済が発展し、新たな雇用を創出できる。平和で誇りある豊かな沖縄づくりへ、在沖米軍基地の全面撤去に全力で取り組む。

 国場 具体的には普天間基地の移設策は日米合意の一つしかないが、基地の管理権を日本政府、運用権は米軍、米軍基地の質的縮小やサイバー・宇宙・電磁波といった新領域を踏まえ、SACOの次の、抑止力の維持と基地の整理縮小のグランドデザインを構想すべき時期である。

 下地 馬毛島が自衛隊基地として訓練の大きな役割を担い、沖縄のあらゆる訓練も、馬毛島に移され、沖縄の過重な基地負担の中で生ずる「危険・騒音」が大きく軽減される。この流れから、いま一度新たな、在沖米軍基地の過重な負担軽減の総合プランをつくることが可能となり、「SACO2」を策定していく中において、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題の全てが論議されるステージを迎えることになると考える。沖縄の過重な米軍基地の負担軽減と、日米安全保障の役割において沖縄が担わねばならない部分とのベストミックスをつくることも可能であると考える。


【憲法改正】

国民求めていない 赤嶺氏
幅広い理解を得る 国場氏
教育無償化を追加 下地氏

 

―憲法改正への立場、今後の改憲議論の在り方は。

 赤嶺 憲法9条は命どぅ宝・反戦平和の「沖縄の心」だ。将来にわたって守るべきものだ。国民は憲法改正を求めておらず、憲法審査会は動かすべきではない。米軍基地によって県民の人権が侵害され、憲法よりも安保が優先される沖縄の現状こそ改めるべきだ。

 国場 「現行憲法の自主的改正」は、自民党結党以来の党是である。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原理は今後とも堅持し、憲法改正に取り組む。憲法施行74年の歴史を経て、わが国が直面する国内外の情勢等に対応し、国民の幅広い理解を得て、憲法改正を目指す。

 下地 教育の完全無償化を憲法改正に書き加えることで、時の政権に左右されず、予算を確保し、教育行政を一貫して進めることが可能となる。改憲議論は、政府が主体的に、国民からの理解を得られるように丁寧かつ迅速に進めるべきだと考える。


【最も訴えたいこと】

命と暮らし守る

 赤嶺 市民と野党が力を合わせれば、政治は変えられる。沖縄から始まった一致点での党派を超えた共闘は全国に広がり、発展している。政権交代を実現し、命と暮らしを守る新しい政治を共につくり上げることを呼び掛けたい。

県民所得倍増へ

 国場 コロナ前の社会経済活動を一日も早く再開するために迅速な対策で国難を乗り切り、県民の平和と幸福を守る。沖縄県民所得倍増計画を実行し、県民主体の新沖縄振興計画で沖縄をさらに繁栄、発展させる。

主体的な沖縄に

 下地 国と徹底的協議を行い、過重な米軍基地負担軽減を実現する。コロナ対策も、国との連携を強化して結果を出す。経済は、国への依存から民間活力を活用した新たな経済活性化の仕組みをつくり出す。国に提案が行える、大胆で主体的な沖縄を創りあげる。