制作10日!琉球新報「衆院選アプリ」ができるまで みんなの興味に届けたい【WEB限定】


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 10月31日投開票の衆院選に向け、琉球新報は「衆院選2021@沖縄アプリ」を公開した。「非公式南風原町議会アプリ」を制作した玉城陽平さんの協力で制作。アプリでは沖縄1~4区の立候補予定者のプロフィルや、政策アンケートの結果などをまとめてチェックできる。特定の政策分野に対する立候補予定者の意見を比較したり、関連するニュースをまとめて読んだりするむこともできる。アプリ制作の経緯を紹介する。(田吹遥子)

■アプリにした理由

 投票率を上げること、特に比較的投票率が低い10~30代の若い世代に情報を届けたい。選挙のたびに、新聞などメディアの担当者を常に悩ませる課題だ。

 質問に答えて自分と考えが近い候補者を知るボートマッチ「りゅうVOTE」、ニュースサイトで情報を見やすくまとめる…。これまでの企画も一定の手応えはあったが、決め手はない。

県議選の際、琉大工学部の学生と共同で制作したボートマッチ「りゅうVOTE」。多くの人が利用し、好評だった

 そんな中、「非公式南風原町議会アプリ」を制作したという玉城さんのニュースが。南風原町に移り住み、町ホームページが「整理できていない」と感じたこと、町の政治への関心を高めたいと、塾講師の仕事をしながらプログラミングがいらない「ノーコードツール」を使って製作したという。アプリは、知りたい情報が分かりやすくまとめられており、「こんな感じの見せ方がいいな」と思い、玉城さんにお会いした。

 建設業で働いて都市計画に関心がある人は都市計画の分野で候補者がどう思っているのか知りたい、子育て中だと子ども医療費などに興味がある…など、玉城さんの話からは、若い世代もしくは日ごろ政治に関心があるわけではない人たちに選挙の情報を届けるには、「わがこと」の興味や関心を入口にすることが重要だと知った。

「非公式南風原町議会アプリ」を制作し、「衆院選2021@沖縄アプリ」を一緒に制作してくれた玉城陽平さん

 一方、街中で見つけた候補者が気になって調べたくなる人もいるだろう。アプリにはどのページでも表示されるタブがある。さまざまな興味に合わせていろんな「入口」を作ってみたらいいのでは…。候補者から情報を確認する「候補者情報」と政策分野からチェックする「政策比較」のアイデアが具体化してきた。

 

■ノーコードで作った!

 アプリは「非公式南風原町議会アプリ」と同様、ノーコードで作ることができる「Glide」のサービスを活用した。玉城さんの協力もあり、琉球新報のウェブ担当者と玉城さんの3人で約10日で公表段階までこぎつけた。

 「Glide」は「グーグルスプレッドシート」と連携しており、情報が互いに更新・反映される。さらにアプリの動作もプレビュー画面ですぐに確認できる。記者はWEBデザインなどの経験は全くないが、玉城さんや同僚の協力を得ながら、通常業務の傍ら制作に携わることができた。

Glideでの制作画面

 ITの専門的な技術や知識がない人でも、アプリを制作できる方法だと改めて思った。「市民の課題を解決するためにテクノロジーを活用する」という「シビックテック」の広がりの一端を体験できたと感じている。

 

■「誰にでも分かる」が民主主義の土台

 玉城さんは今回、琉球新報とのアプリ制作に関わったことについて「情報を整理することで、政治参加のハードルを下げる。議会アプリのときも今回の衆議院選のアプリでも同じ思いがベースにある」とした。

 「誰にでもわかる形で情報が共有されることは民主主義の土台であり理想。アプリがその土台のバージョンアップを試みるもの。未完成の部分もあり改良の余地も多くありますが、このアプリはその土台のバージョンアップを試みるもの。新しく更新されていく民主主義の形に貢献できたことを光栄に思います。」と意義を語った。

>>衆院選2021@沖縄アプリはこちらから(スマホ推奨)

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