辺野古、防衛局の移植サンゴが一部死ぬ 工事が影響か 環境団体調査


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移植されたものの、一部砂をかぶって死んでいたサンゴ=15日、名護市辺野古の沖合(安部真理子さん提供)

 【辺野古移設取材班】沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴い、沖縄防衛局が移植したサンゴが一部砂をかぶり死んでいるのが15日、分かった。日本自然保護協会主任の安部真理子さんが同日、移植地点に潜水して生息状況を確認した。安部さんは「護岸工事の影響で砂の動きが変わったのだろう」と述べ、埋め立て工事によって生じた潮の流れの変化が移植後のサンゴの生育に悪影響を及ぼしているとの見方を示した。

 安部さんが確認したのは辺野古崎西側の移植水域と大浦湾側の移植水域のサンゴ。辺野古漁港寄りの水域では、移植されたキクメイシの一部が砂をかぶって死んでいたほか、移植の目印とみられるくぎだけを残してサンゴ自体が見当たらない場所もあった。

 大浦湾側の移植水域では多少の傷みはあったが、辺野古漁港側と比較すると損傷の程度は低かったという。安部氏は「何万というサンゴ群体を移植すれば、元々移植先にあったサンゴや魚などの生息環境に変化を及ぼす」と指摘。その上で「移植は環境を改変することだ。国や県は移植後の生態系全体への環境もきちんと評価すべきだ」と話した。

 また県の移植許可については「行政手続きとして許可せざるを得ないにしても一気に許可を出すのではなく、試験的に少量のサンゴを移植し、様子を見てから徐々に移植する群体を増やしていくという研究機関などが実施している手法を参考にしてほしい」と述べた。