辺野古サンゴ移植「5月~9月は避けるべき」 サンゴ礁学会が回答


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
水中接着剤で固定され、他海域から「移設」されたサンゴ=9月3日、名護市の大浦湾

 沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設を巡って7月29日にサンゴ移植を始めた件で、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会(藤田喜久委員長)は、移植の妥当性を問う沖縄県の意見照会に「5月から9月は造礁サンゴ類の繁殖期に相当しており、この時期の移植は避けるのが望ましい」などと回答した。

 意見照会は9月17日付けで、回答は10月14日付け。同委員会の回答では造礁サンゴ類は高水温期の成長率が高くなる一方、白化現象や台風による塩分低下などで生残率低下の可能性が高まるとして「この時期の移植は避けるべき」と指摘する。他方、サンゴ移植の研究例が少ないことなどを挙げて「複数種をまたいで一義的に移植適期を断定することは困難。各分野研究者を含む関係者間で最適な移植時期を改めて検討すべき」とした。

 玉城デニー知事は21日、コメントを出し「生残率をできる限り高めるため、研究者や県の意見を聞き、真摯(しんし)な態度でサンゴ類の環境保全措置としての移植を実施すべき」と訴えた。

 防衛局がサンゴ移植を始めたことを受けて、県は水温が高くなっていく時期でサンゴの生残率が下がる点などを考慮して中止を求める行政指導をしたが、防衛局が応じなかったため、移植許可を撤回した。防衛局は県の許可撤回を不服として農相に審査請求と執行停止を申し立てた。執行停止が認められたため、県の許可撤回の効力が停止され、現在はサンゴ移植ができる状態になっている。