辺野古のサンゴ「移植による復活は困難」 現場を視察した識者、作業強行を批判


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移植現場で白化したサンゴ(中央)=22日、名護市辺野古沖(大久保奈弥准教授提供)

 【辺野古問題取材班】サンゴの移植に詳しい大久保奈弥・東京経済大学准教授(生物学)が22日、名護市を訪れ、辺野古の新基地建設に伴うサンゴ移植現場を視察した。同日開催された講演会で、防衛局の設置した「環境監視等委員会」の専門家2人が「その分野の有識者とは言えない」と指摘。サンゴ移植による生態系の再生は困難であることも主張した。

 視察したのは、大浦湾側の水域「S1」周辺。悪天候で海がしける中、沖縄防衛局は移植作業を進めていた。大久保准教授は海に入り、白化した移植サンゴを複数確認。ダイバーがカゴいっぱいにサンゴを重ね入れるのを目撃し、「重ねてしまうと肉が傷つき、病気の原因になってしまう恐れがある」と指摘した。中には重くてカゴを落としてしまう人もいた。「サンゴは生き物だ。単なる物を扱っているようにしか思えなかった」と批判した。

講演会でサンゴ移植の問題点などを指摘する東京経済大の大久保奈弥准教授=22日、名護市の港区公民館

 同日午後、名護市の港区公民館で講演した。主催はヘリ基地反対協議会で、市民40人が参加した。環境監視等委員会で専門家とされる委員はサンゴ移植の研究経験がないことに言及。委員が過去に半分以上が消失したハマサンゴ移植事例を「成功」と発言したことや、「案外夏場でも移植可能」「思います」といった科学的根拠を欠く表現をしていることについて「国のストーリーにあったお墨付きを与えるだけの存在だ」と厳しく批判した。

 過去のサンゴ移植事業の事例を挙げ、失敗が相次いでいるとも説明。「元々生息していないところに植えても生きていけない。一方、防衛局が今やっているように他のサンゴがいる場所に植え付けるのも生態系に悪影響を与える」と述べ「人為的なサンゴ礁の生態系復活はかなり難しい」と強調した。