首里城復興祭はじまる 焼失から2年…早期復元に期待の声


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
鮮やかな衣装で登場する国王・比嘉朝壮さん(右)と王妃・神山聖加さん=30日午前、那覇市の首里城公園

 首里城の正殿などが焼失してから31日で2年となるのを前に「首里城復興祭」(首里城祭実行委員会主催)が30日午前、那覇市の首里城公園で始まった。新型コロナウイルスの感染防止対策で一部イベントが中止となったが、集まった市民や観光客らは、琉球王国時代の華やかな催しを楽しんだ。早期復元に期待の声も多数上がった。

 首里城復興祭は午前11時、琉球王国時代を再現した国王・王妃のおでまし(出御)から始まった。次期国王の即位の儀礼が行われた「世誇殿(よほこりでん)」から、鮮やかな衣装に身を包んだ国王役の比嘉朝壮さん(44)と、王妃役の神山聖加さん(26)が、ゆったりとした足取りで現れると、来場者らはカメラを向けて記録に残した。

 東京都から夫婦で訪れた宇佐美賢一さん(60)=東京都=は「貴重な行事を見ることができた」と語った。焼失前の首里城にも来たことがあり「当時とは景色が全然違う。寂しい思いがした」と振り返った。首里城再建のために寄付をしたといい「一日も早い復興をしてほしい」と願った。

 糸満市から友人と訪れた深村シェリーナさん(27)は、焼失後初めて首里城を訪れた。以前は1年に1回は来ていたが、焼失の衝撃が大きく気持ちが向かなかったという。威容を誇った正殿がなくなり「泣きそうになった。ものがなくなって心が揺さぶられるのは初めての経験だ」と語りつつ「現場の人たちが頑張っているのを見て、復元が早く進んでほしいと感じた」と再建に携わる関係者にエールを送った。

 また、国王・王妃が外出する際に乗った「御轎(うちゅう)」の乗車体験も初めて行われるなど、にぎわいを見せた。

 首里城復興祭は11月3日まで行われる。


 

▼新しい首里城が目指す「見せる復興」とは?再建スケジュールは

▼首里城の謎「正殿の畳」今回も敷き方分からず、再現見送りへ

▼十月忌 見えなくても「そこにある」…大城立裕さんの首里城と普天間

▼国仲涼子さん「立ち上がる沖縄、首里城でも」

▼【首里城 私たちのリアル】復興の形は? 20代、30代、40代が語り合った