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動機善なりや、私心なかりしか 赤マルソウ社長・座間味亮<仕事の余白>


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座間味亮氏

 「動機善なりや、私心なかりしか」。私の一番好きな言葉、京セラ創業者稲盛和夫さんの言葉だ。

 理解するまでの自分は私心だらけで利己の塊だった。家庭では妻に心配をかけ、職場でも私心だらけなので負の要素が強く、同僚や社員に目に見えない圧をかけていた。とんでもない環境を自分自身で作っていたので周りはたまったものではない。

 代表者になってもそんな環境を作り出していたので、家庭でも職場でも謀反が起こる。初めて自分の愚かさに目覚め、中小企業家同友会等の先輩経営者に教えを乞い、稲盛塾長の盛和塾で「経営者である前に、人格者であれ」と教えられた。目覚めた私は貪(むさぼ)るように同友会で学び、稲盛さんの著書も読みあさった。

 創業者(具志堅宗精)の社訓がマインドに響いた瞬間が「動機善なりや、私心なかりしか」である。「そうか、祖父は私心なく戦後沖縄の発展のために経済界に貢献してきたのか」。そう気付いた瞬間から、社訓の全てに人格者として経営者としての基本があるのだと確信した。それから少しずつ周りの環境が変わってくる。もちろん良い方向に、特に妻の変化には驚くばかりだった。

 会社の環境も変わる。長野県で経営者が受ける研修を終え社に戻り、社員に今までの私心だらけを謝罪した。格段と会社の環境も良くなっていった。まだ道半ばではあるが、先代が残してくれた社訓を行動指針として、さらに精進して行きたい。