新型コロナウイルス感染症が流行して初となる衆院選で県内の投票率は54・90%と2017年実施の前回選挙を下回った。選挙戦の争点には、名護市辺野古の新基地建設問題をはじめ、新型コロナ対策や経済回復などが加わり、各党、候補者とも暮らしへの支援などを政策に掲げたが、有権者の投票行動には結びつかなかった。
「自民1強」の長期化で森友、加計学園問題や参院選広島選挙区の買収事件など「政治とカネ」の問題が相次いだ。与党の不祥事が後を絶たない一方、野党にも期待できないと、政治不信が広がり、投票率低下につながった可能性もある。
コロナ感染防止策として呼び掛けられた期日前投票も前回比4・4ポイント減の23・0%にとどまった。衆院解散から投開票まで17日間の超短期決戦で論戦が深まらず、感染防止で集会開催などが制限されたことも影響したとみられる。
小選挙区制の導入以降、県内の投票率は低迷している。各党は今後も生活者目線に基づく政策を提示・実行し、政治と国民との距離を縮める取り組みが求められる。政治不信は根深い。政治家一人一人の倫理観もあらためて問われている。
(小波津智也)
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