新型コロナウイルスの感染防止対策や経済対策、基地問題を巡って論戦が繰り広げられた第49回衆院選。2014年の前々回から引き続き、県都・那覇の1区、米軍普天間飛行場がある2区では新基地建設に「ノー」が突きつけられた。一方、同飛行場の移設先となっている名護市がある3区、本島南部や先島を抱える4区は自民候補が勝利した。「民意を無視する政府への怒りだ」「国と連携し政策を進めたい」。当選した各候補は勝利をかみしめながら、基地問題や経済振興などの課題に向き合う決意を新たにした。
午後11時4分ごろに当確が報じられると、島尻安伊子さん(56)=自民=の選対本部は吉報を喜ぶ支持者で沸き返った。貧困対策や振興を柱にした訴えが多くの有権者に届き、2019年の衆院補選では1万7728票差で敗れた立民の屋良朝博さん(59)に勝利した。
「投票箱が閉まるまで頑張ろう」。毎朝の朝礼では合言葉となっていた。無党派の若者への支持拡大を狙い、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」も始めた。動画内では子育て環境の充実を公約に掲げて、2004年に那覇市議補選に立候補した初選挙の思い出も語った。
16年の参院選、19年の衆院補選に落選して今回敗れたら「政治家生命が終わる」(陣営関係者)との心配もあったが、持ち前の明るさを発揮した。「子どもたちの未来のために」とぶれることのない信念で、笑顔で各地を駆け巡り、勝利をたぐり寄せた。
コロナ禍で打撃を受けた沖縄経済の立て直しに尽力することを誓う。大型補正予算を組み、Go Toトラベルなどさまざまな支援策のほか、飲食店など事業者への協力金の給付支援も考えている。
「あちらこちらで支持を頂いたことに感謝したい。この3区のためにぬちかじり(命の限り)走り抜いていく。子どもが夢をかなえ、皆さんに喜んでいただける政策を前に進めたい」。沖縄担当相の経験も踏まえ、豊かな人脈を生かし、自公政権の継続の下、奮起を誓った。
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