秋空に「幸福を呼ぶ魚」 この時期しかない貴重な「フーヌイユ」の天日干し最盛期


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天日干しされるフーヌイユ=10月9日、国頭村宜名真漁港

 【国頭】沖縄県国頭村の秋の風物詩となっている、地域では「幸福を呼ぶ魚」と言われる、フーヌイユ(和名シイラ)の天日干しが同村宜名真で10月8日から始まっている。この時期に宜名真漁港内で開催されている「フーヌイユまつり」は新型コロナウイルスの影響で2年連続の中止となった。それでも、10月1日頃から漁師らはいつも通りに、約300年続くと言われる地域の伝統漁法のフーヌイユ釣りに取り組んでいる。

 10月8日には、浦崎光男宜名真区長(57)の呼び掛けにより、本格的な操業と魚の解体作業の始まりとして漁師や区民らが宜名真漁港に集まった。

 漁師らの操舵(そうだ)する漁船5隻は、まだ夜が明けない薄暗い午前6時頃に宜名真漁港を次々に出港。沖にあるパヤオ(浮き魚礁)の周辺で釣り上げ、約2時間後に帰港、約20キロが水揚げされた。フーヌイユは地元の漁師や区民によって3枚におろされ、約1時間塩漬けした後、風通しのよい場所ですだれ状にして2日間天日干しした。

 今年は、水揚げ量の状況を確認しながら、天日干しフーヌイユ2千円の650グラム入りパックと、3枚におろし身を取った後の頭や骨などが入ったアラ・汁用500円の1キロ入りを、11月初旬から宜名真共同店で販売する予定。「この時季にしか味わえない、貴重なフーヌイユ天日干しとアラをご賞味ください」と呼び掛けている。

 浦崎区長は「昨年に続き、コロナの影響でまつりは中止となったが、漁師の操業も始まって活気が出てきた。これからもフーヌイユを特産品としてPRして地域の活性化につなげたい。購入の際は共同店に問い合わせてほしい」と話した。

 問い合わせは宜名真共同店(電話)0980(41)8143。

 (新城高仁通信員)