「戦死した学友の生きた証を」独自調査、刻銘版建立…沖縄戦の元学徒たちが活動を本に


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冊子の表紙について話し合う「元全学徒の会」幹事の宮城政三郎さん(右)と共同代表の瀬名波栄喜さん(中央)ら=那覇市の養秀会館

 沖縄戦に動員された旧制師範学校・中等学校の元学徒らでつくる「元全学徒の会」が、活動の記録をまとめた冊子の年内発行を目指している。県への働き掛けで「全学徒隊の碑」と「全学徒戦没者数刻銘板」の建立が実現するまでの足跡をつづる。同会が独自に調べた、全ての学徒の戦没者名簿も掲載する。同会幹事の宮城政三郎さん(93)は「いかに戦争が悲惨だったのか、戦没者を記すことによって伝えたい。次の世代に反戦平和の道標(みちしるべ)にしてもらいたい」と語る。 (中村万里子)

 「全学徒隊の碑」は、昭和高等女学校同窓生などの働き掛けを受け、県が17年3月、糸満市摩文仁の平和祈念公園内に建立した。ただ、碑には戦没者数が記されていなかったため、県への要請のために元学徒らは18年3月、「元全学徒の会」を発足。県や県議会に対し、学徒全体の戦没者の数を記した刻銘板設置を働き掛け、実現した。

 冊子の発行に向け10月29日、宮城さんと同会共同代表の瀬名波栄喜さん(92)、県立一中出身の山田芳男さん(90)ら関係者が那覇市の養秀会館に集まり、編集作業を進めた。瀬名波さんは「亡くなった学友たちの死を、忘却のかなたに追いやることはあってはならない。生きた証しとして、ぜひ名をとどめておきたい」と語った。

 発行にかかる費用は、元学徒らが出し合う。千部印刷する予定で、各学校にも配布できるよう準備を進める。