沖縄で1万~9000年前の人骨発見 貝塚時代で最古、「空白期」埋める 藪地洞穴遺跡


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うるま市の藪地島洞穴遺跡で出土した貝塚時代の人骨(頭骨片)

 沖縄県うるま市の藪地洞穴遺跡で、約1万~9千年前の貝塚時代の人骨が発見されたことを8日、うるま市教育委員会が発表した。発見された人骨は頭蓋骨の一部で、これまで県内で発見された貝塚時代の人骨では最も古い。県内では1万4千年以前の旧石器時代と7千年以前の貝塚時代の間で、人骨は発見されていない。「空白時代」を埋める貴重な発見となる。

 沖縄諸島では、旧石器時代の後の縄文時代から11世紀ごろまでを「貝塚時代」と呼ぶ。沖縄本島では、約2万2千年前の「港川人」が、旧石器時代としては、日本で初めて見つかった完全な形に近い人骨として知られる。しかし、これまで貝塚時代では、名護市大堂原(うふどうばる)貝塚で発見された約7千年前の人骨が最古のものだった。

 うるま市教委は2014~16年にかけて、藪地洞穴遺跡の発掘調査を実施。16年には、県内最古の9千年以上前の土器を発掘したと発表していた。今回の人骨も、その時の調査で発掘されたもので、地層や骨の形態的特徴から、貝塚時代の人骨とした。

 地上60~70センチの深さから発掘された人骨片は2点で、どちらも約10センチ程度の大きさ。部位は前頭骨の部分で、眉間が平坦で、なだらかなアーチを描いてるため、女性と推定している。また、前頭骨と頭頂骨の間の「冠状縫合」の縫合線が現存することから、成年(16~20歳)から壮年(40歳未満)の年齢と推定している。県内で発見されている貝塚時代の人骨から見られる、「眼窩(がんか)が四角い」という特徴も備えている。

出土した人骨の部位

 人骨の保存状態は良好で、市では、今後はさらに多くの人骨が周辺から発見できる可能性があるとしている。旧石器時代と貝塚時代の関係性などの調査研究も進めていく。

 市では、今回の人骨とこれまで藪地洞穴遺跡で発掘された土器なども含め、9~21日と12月14日~来年1月30日までに市勝連のアマワリパーク歴史文化施設で展示する。11月23日~12月5日は県立博物館・美術館で開催されている企画展での展示も行う。


 

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