沖縄で集団免疫の可能性「無症状、感染者の16倍」 友知沖国大教授ら分析


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 【宜野湾】友知政樹沖縄国際大学教授と河野光雄中央大学名誉教授が10日までに、新型コロナウイルス感染拡大に関する研究報告書第5弾をネット上に公開した。第5波を経て沖縄では計算上は免疫化率が8割を超え、感染が広がりにくくなる「集団免疫」が達成されている可能性があると指摘した。「ワクチン接種をさらに推進すると同時に、現状の到達点を明らかにするために大規模な抗体検査を進め、抗体保有率を早期に明らかにすべきである」と提言する。

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「抗体保有率検査」を提言

 論文の公開日は10月17日付。友知教授らは昨年11月に発表した論文で、従来の感染症の分析に用いられる数理モデル(SIR)に、無症状の感染者が感染を広げることなど新型コロナの特徴を加えた独自の数理モデル(SIIR)を考案。無症状の感染者が発症者の「16倍近く存在する」と指摘していた。

 今回の報告はその後の第4~5波の感染者数を分析した。第4波にピークが2回あった沖縄の状況について「観光客によってもたらされた感染拡大は一時的なものとして終わりかけたが、感染力のある無発症感染者が野放しのまま第4波後期の感染拡大を駆動したと思われる」と指摘した。

 

友知政樹沖縄国際大学教授

ワクチン「一挙に接種が重要」

 沖縄ではワクチン接種率が6割程度であるが、発症者数と推定される無症状者数の累積は人口比で5割になる計算で、これらを考慮すると沖縄などで「免疫化率」が77・3~96・7%に達すると推計される。沖縄で「集団免疫が実現している可能性もある」としている。

 またワクチン接種のスピードが遅い場合、逆効果として「感染拡大期間を長引かせる」と指摘。感染を早期に終息させるには「一挙に接種することが決定的に重要だ」とした。

 友知教授は「集団免疫が達成されていたとしても小規模な感染は発生しうるので、日々の感染対策は引き続き重要だ。また免疫が効かない新たな変異株が入ってきた場合には集団免疫がない状態に逆戻りするため、水際対策は極めて重要だ」と話した。
 


 

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