
ワクチン接種が進めば、流行は起きても、重症化は起きにくくなる―。沖縄県立中部病院の高山義浩医師は9日、県庁であった新型コロナウイルスに関する会見の場で、県内医療体制の改善や新規感染者数を減らすため、ワクチン接種の重要性を改めて説明した。18~23日の連休「シルバーウイーク」が直近の正念場とし、「県内でコロナが収束したと言えるかどうかの大きなチャレンジになる」と感染防止の徹底を呼び掛けた。
高山医師は、ワクチン接種率が80%に達したシンガポールでも流行が起きている現状を説明した。感染力の強いデルタ株の影響で、感染者のうち2回接種済みが約半数を占め、1回接種済みと未接種者がそれぞれ約25%だったという。
高山医師は、2回接種後でも感染する「ブレークスルー感染」が起きていることについて、「重症者や死亡者は出にくくなっている。私たちの臨床現場でも実感している」と接種の有効性を強調した。
県内では新規感染者が減少傾向にあるものの、入院中の重症患者は高止まりしており「会見15分前に重症者用病床がゼロになった。医療機関は本当にギリギリの状態で、コロナと闘っていることを理解してください」と訴えた。
県の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の座長でもある琉球大学大学院の藤田次郎教授によると、同病院を含め、複数の重点医療機関では新型コロナの入院患者が確保病床の上限近くに達するなど、かなり逼迫(ひっぱく)しているという。一方、ワクチン接種者の重症化事例は少なく「ブレークスルー感染」も軽症が多いとして、「今後、ワクチン接種が広がり、県民が自粛生活を継続すれば、入院患者も減少する」と述べた。
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