外国人の労働環境向上へ 全国初の企業認証制度 国際交流・人材育成財団


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 外国人労働者の生活や雇用環境を向上させようと、県国際交流・人材育成財団(OIHF、與座博好理事長)はこのほど、県内企業を対象に「多文化共生推進アライアンス認証制度」を始めた。外国人の生活や雇用環境の向上に関し、企業を認証するのは全国でも初めて。認証企業には外国人労働者との就職マッチングを無償で支援するほか、企業内の多言語化の推進に必要な翻訳者の紹介サービスなども受けられる。認証を通じた海外人材の採用と定着により、県内企業の国際化対応を促していく。

「多文化共生推進アライアンス」の第1号認証を受け取る琉球銀行総合企画部の島袋健部長(左)と県国際交流・人材育成財団国際交流課の根来全功課長=18日、那覇市東町の琉球銀行仮本店

 認証には、就労を希望する外国人に対して、日本人と同等かそれ以上の機会・待遇を確保するほか、外国人労働者の労働・生活環境の向上を図り、関係法令を順守する行動指針が求められる。重要事項の通知は外国人労働者の母国語や、やさしい日本語などを活用し、理解を促すことも必要とされる。

 現在、県内の企業や教育機関約10社・団体から賛同を得ているという。18日には、琉球銀行(那覇市、川上康頭取)に第1号認証の証書が交付された。

 琉銀総合企画部の島袋健部長は「新型コロナが収束したら、海外との交流がまた活発になる。外国人が安定的に暮らせるように関連情報を提供していきたい」と述べた。

 OIHF国際交流課の根来全功課長は「外国人から融資などに関する相談が来る。今後、金融分野の情報提供を多言語化することを検討したい」と、認証企業との連携に意欲を見せた。

県国際交流・人材育成財団が認証する「多文化共生推進アライアンス」のマーク(提供)

 OIHFは沖縄労働局、福岡出入国在留管理局那覇支局と「在住外国人の労働・生活環境向上に向けたパートナーシップ協定」を結んでおり、協定の一環で認証制度を設置した。

 OIHFは現在、就労を希望する外国人向けの求職者ホームページを準備しており、早ければ2022年4月から認証企業とのマッチングをスタートする。マッチング前に、同財団が求職者の面接も実施する。

 根来課長は「国内の少子高齢化を補完するため、県内でも外国人労働者を受け入れる団体が増加傾向にある。雇用者が外国人労働者の労働や生活環境の改善に責任を持つことで、沖縄が多文化共生社会を実現できる」と述べた。