性被害相談1496件で最多ペース 21年度上半期 コロナ拡大の20年度以降急増


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 県が設置した県性暴力被害者ワンストップ支援センターがまとめた2021年度上半期の相談件数が1496件、相談者数が92人に達し、過去最多だった20年度の半数を上回っていることが22日、分かった。前年度の6割近くに達している。県は要因を分析していないが、新型コロナウイルス感染拡大により外出などが制限された20年度以降に急増している。

 2015年2月に開設した同センター。初年度の14年度は2カ月の運用で相談件数は54件(相談者数16人)だった。その後相談件数は増加し、17年度に初めて千件を超え1028件(同73人)に達した。18年度は一転、652件(同51人)に減少した。

 だが、19年に365日24時間対応の「病院拠点型」の態勢が整ったことで相談数は一気に増えた。19年度の相談件数は前年度比2・3倍の1483件で、相談者数も前年度比2・8倍の141人に増えた。20年度の相談件数は前年度比2倍近い2835件、相談者数は162人で、いずれも過去最多だった。

 開設時の15年2月から21年9月末までの相談者の累計は682人。年代別内訳は20歳未満が33%で最も多く、20代が21%、30代が12%などとなった。加害者との関係性は「知っている人」が78%で、8割近くを占めた。

 県は支援を優先しているとして、相談件数が増えている背景を分析できていないという。

 同センターは性別、セクシャリティーを問わずに相談を受け付けている。県がまとめた相談件数では、女性や男性など「性別」の集計はなく、内訳は不明。

 常時20~30人の専門相談員が配置されており、性暴力被害者の相談を受けるだけでなく、希望に応じて関係機関と連携し、同行支援なども行う。相談は無料。本人以外からの相談も受ける。問い合わせは短縮ダイヤル♯8891。つながらない場合は(電話)098(975)0166。
 (仲村良太)


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