新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、受診率の低下が浮き彫りとなったがん検診。乳がんにかかった奥間洋子さん(57)=浦添市=も受診控えを心配する一人だ。日本の乳がんによる死者は年間1万人を超えるとされる。日本人の2人に1人はがんにかかるとされる中「検診は不要不急ではない」と話し、がん検診の必要性を訴えている。
奥間さんが乳がんと診断されたのは2015年6月。きっかけは、毎年受けている検診だった。30代の頃から左胸のしこりが気になり、定期的に検診に通った。国が検査を推奨する40代になってからは、毎年のように受けた。
見つかった腫瘍は5ミリ以下で、状況としては「超初期」。ただ見つかった場所は、それまで注意を払ってきた左胸ではなく、右胸だった。専門医の下、定期的に受けて変化に気づけたからこそ「見つけられたのかな」と、毎年の検診の意義を実感した。
15年中に3回手術を受けて腫瘍を摘出した。手術の合間も仕事を続けた。術後も仕事や軽い運動をこなすなど、術前と変わらない暮らしを続けている。
NPO法人乳がん患者の会ぴんく・ぱんさぁのボランティアスタッフとして、患者への情報発信や乳がん検診の受診などの普及啓発に携わる。新型コロナの感染拡大が続く中、検診を延期したり、通院を控えたりする人がいることを見聞きした。「コロナ禍が長引くにつれ、受診控えが心配になった」と話す。
診断が遅れ、腫瘍が大きくなれば手術は大規模になり、治療に要する期間も延びる。体や費用面の負担が大きくなる。「早期に見つければ命が守られる確率が高い」と訴えた。
(知念征尚)
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