【記者解説】「選択と集中」反映 自立型経済に道筋 次期沖振計策定本格化へ 


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自民党本部

 沖縄の日本復帰から50年の節目と重なる2022年度の与党税制改正大綱が取りまとめられ、同年度の沖縄関係税制が決定した。沖縄振興特別措置法や復帰特別措置法などで規定している主要な税制優遇措置が延長となった一方で、復帰から半世紀にわたる酒税軽減措置の10年後の廃止が盛り込まれるなど、将来への道筋も付けられた。

 酒税軽減措置の廃止は、自民党税制調査会で議論が始まる直前に、オリオンビール側から「段階的廃止」の方針をめぐって物言いが付いたものの、内閣府が示した当初案通りの内容で決着した。

 第4次沖縄振興計画(2002~11年度)以降に掲げる「自立型経済の構築」に向けた一歩ともいえる。

 「地域・特区制度」では、(1)観光地形成促進地域(2)情報通信産業振興地域・特別地区(3)産業イノベーション促進地域(4)国際物流拠点産業集積地域(5)経済金融活性化特別地区―の5地域・特区での税制優遇措置の3年延長が決まった。

 このうち(1)~(4)には、認定要件に新たに「従業員給与水準向上」が加わった。大綱は、税制改正の基本方針として岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」を明記し、「賃上げを積極的に行う」としており、政権の方針を反映する見直しが行われた形だ。

 一方で、離島振興を促すための「離島における旅館業用建物等の課税課税特例」は適用範囲を拡充しており、制度の「選択と集中」を進めようとする政府の意向がにじむ。

 税制は次期振興計画の「一里塚」に位置付けられる。年末に向けて沖縄関係予算の策定、沖縄振興特別措置法に替わる新法の制定など、「次の10年」に向かう新振計の策定作業が本格化する。 

(安里洋輔)


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