沖縄県敗訴「到底、納得できぬ」と玉城知事 辺野古抗告審 地方切り捨てと批判


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控訴の棄却を受け、弁護団らと記者会見する玉城デニー知事=15日、県庁

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟の控訴審判決で県が敗訴したことを受けて、玉城デニー知事は15日、県庁で会見し、「到底、納得できない」と強い不快感を示した。

 上告の是非や判断時期については「しっかり審査をし、そのタイミングも含めて再検討したい」と明言を避けた。

 今回の判決で福岡高裁那覇支部は県の原告としての資格を認めなかった。県の埋め立て承認撤回を取り消した審査請求は本来、私人救済を想定しており、行政機関の利用には批判も根強い。玉城知事は判決について「法定受託事務に関して地方の利益に反する場合に国の判断が優先され、救済手段がないことを示した。地方の自主性を切り捨てた」と批判した。

 県との裁判が続く中で工事を進める国の姿勢は「埋め立て工事の問題を県民、国民に見えないようにして工事を強行し、埋め立ての既成事実化を図ろうとしている」と指摘した。

 県は11月25日に大浦湾側の軟弱地盤改良工事に伴う国の設計変更を不承認とし、対抗措置として国は審査請求を用いた。玉城知事は「司法ではなく、審査請求を選択したことの意味を県民、国民、全自治体に考えてほしい」と語った。
 (塚崎昇平)