オランダでオンラインの日本食品店 那覇出身・屋比久達也さん【キラリ大地で】


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オンライン日本食品店suupaaを運営する屋比久達也さん=10月、アムステルダム中央駅前

 アムステルダムに続く、北海運河の河口の町で暮らす那覇市泊出身の屋比久達也さん。「一度きりの人生なので、沖縄の外の世界も見てみたいと思って。遠くオランダまで来てしまいました」。ゆっくりと語りながら、優しい笑顔を見せる。ドイツやオランダの食材卸会社で働いて10年になる。出会う人との縁に感謝し、多くの困難にも歯を食いしばってきた。「もっと手軽に食材を届けたい」と、夢だったオンライン日本食品店suupaaを4月に開店した。

 名桜大国際学部を卒業後、東京のIT関連企業でプログラマーやシステムエンジニアとして約10年働いた。30代半ばになって沖縄に戻ることも視野に入れつつ転職先を探していたとき目に止まったのがドイツの日本食品関連会社の社員募集だった。

 趣味は旅行とギター。大学の課外授業で訪れたボリビアのコロニアオキナワでは、短い時間だが現地のウチナーンチュとの交流も持てた。その旅行が忘れられず、その後東京から一人でボリビア、ペルー、アルゼンチンを旅した。エレキギターのジャガーを愛用し、プライベートではバンド活動も続けている。

 2014年には沖縄から来た両親とベルリン、ミュンヘンなどドイツ各地を巡り、良い時間を過ごせた。ドイツで5年働いた後、知人の紹介と自身の好奇心に背中を押され、16年にオランダに移住した。

 オランダ語風に母音を重ねて名付けたsuupaaは、すべて自作運営する。欧州産のコシヒカリや、しょうゆやみそなどの調味料から、豆腐にパン粉、昆布、漬物など幅広く取りそろえる。「すしだけが日本食じゃない。しょうゆを買ってくれた現地の人に、すし以外の家庭料理も伝えたい。今後は簡単な動画を紹介するなどして、売り上げにもつなげたい」と熱く語った。

(田中由希香ドイツ通信員)