【深掘り】那覇空港の国際線、再開はいつ?検疫人員は数倍必要…受け入れ体制に課題


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那覇空港の国際線ターミナルビルの検疫場所=16日、那覇空港

 新型コロナウイルス対策に伴う入国制限措置で、2020年3月に那覇空港の国際線が全便運休となってから1年9カ月がたつ。新たな変異株オミクロン株の確認で日本は全世界を対象に外国人の新規入国を再禁止するなど、国際線再開のめどはいまだ不透明さがあるが、中華航空(台湾)が来年の夏ダイヤで沖縄路線の再開を計画する動きもある。一方、空港検疫の人手や場所の確保など、那覇空港の国際線再開に向けては受け入れ体制の課題も多い。

待機場所確保200人程度 準備必須、県や国に支援要請も

 日本政府はオミクロン株が発生する前に、外国人のビジネス関係者や留学生、技能実習生らに対する入国制限を大幅に緩和した。それでも現段階での空港検疫は、出国前72時間以内の検査証明書や健康カードなど5種類の資料の提出が必要となるなど、入国者を受け入れる手続きはコロナ前より複雑化している。

 さらに抗原定量検査や、入国後の居場所などを確認するためのアプリのダウンロードも必要となる。那覇検疫所によると、スムーズに進んだ場合でも1人当たり2時間を要し、100人以上が搭乗する飛行機だと1日1便程度の対応で終わってしまう想定だ。

 同検疫所は約20人体制で運営している。運航再開時に現行の検疫業務をこなすには数倍の人数が必要となる。外部委託を予定するが、体制を整えるにも3カ月程度は時間を要する。

 検疫関係者は「経済が回復した頃には他業種でも人手不足になる可能性が高く、検疫業務に必要な人数の確保は課題だ。だが、国から入国再開の号令がかからないと動けない」と話す。

 那覇空港では検査結果が出るまでの待機場所も課題となる。那覇空港ビルディング(NABCO)がバスラウンジなどを提供し、100~200人程度の収容場所は確保しているが、コロナ前の年間300万人規模を受け入れるには足りない。NABCOの担当者は「外国人客が戻る頃には入国規制も緩和されているとは思うが、機内で待機させるなどのオペレーションの検討も必要となるだろう」と話す。

 入国者を隔離するホテルや、陽性者が出た場合の医療機関については那覇検疫所で調整を進めている。同検疫所の垣本和宏所長は「他都道府県では県をまたいで施設を確保できるが、沖縄はリソース(資源)が限られている。県や医療機関側にも受け入れ体制に協力してもらう必要がある」と指摘する。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は、県経済団体会議や県ホテル協会など経済関係者をメンバーとする「那覇空港国際線再開促進協議会(仮称)」の設置を検討している。感染状況が落ち着いて観光目的の入国が再開されるのを見据えて、県や国に必要な支援など要請活動をする考えだ。

 OCVBの担当者は「観光客の入国が認められれば、地方空港の競争が始まる。国際線の再開には時間がかかるので、今から準備しないといけない」と話した。

  (中村優希)