非正規公務員、パート倍増94% ワーキングプア解消せず 沖縄市町村「会計年度任用」負の効果


社会
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 臨時・嘱託などばらばらだった非正規公務員の身分が会計年度任用職員に統一された2020年度以後、県内市町村のフルタイム職員が激減し、パートタイムに置き換わっていたことが分かった。地方自治総合研究所のまとめによると、県内41市町村の非正規公務員全体に占めるフルタイムの割合は16年度の54%から20年度の6%に激減した一方、パートタイムは46%から94%に増えた。制度移行を境に、市町村が財政負担の低減を図ったとみられる。

◆自治体側、財政負担の低減図る

 

 会計年度任用職員の制度は、多様化する行政需要に対応するため、臨時・嘱託など非正規職員数が増加する中、不明瞭だった採用方法や任期を明確化する目的で導入された。期末手当(ボーナス)の支給など、職員の処遇改善を図る狙いもあった。

 期末手当はフルタイムもパートも支給されるが、専門家は市町村が職員をパート化して月給を抑える方法で財政負担の増加を低減した可能性を指摘する。フルタイムは退職手当の請求権が発生するため、支払いを逃れる思惑もあるという。

 臨時・嘱託の年収は100万円台から200万円台だったが、会計年度任用職員へ移行後も年収は横ばいか微増にとどまり、「官製ワーキングプア」は解消されなかった。年度ごとの任用を繰り返すことも変わらず、雇い止めの不安も残された。

 市町村や職種によって待遇は異なるが、ある自治体ではパート移行後に勤務時間を30分から45分程度減少させた一方、業務量はほとんど変わらなかったという。

 会計年度任用職員は家庭児童相談員、図書館司書、保育士、給食調理員など、住民と直接対面する職種に多い。会計年度任用職員は年々増加し、正規職員より数が多い市町村も出ている。

 会計年度任用職員の制度導入後にフルタイムが減少し、パート化した問題は、県内だけでなく全国的に起きている。
 (稲福政俊)


「官製ワーキングプア」悪化 業務量同じで勤務時間減 期末手当出でも月給減