沖縄のゆいまーるをベトナムで 那覇市出身の現地法人社長がコロナ禍の医療支援


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医療機関に提供された車両。車体には医療従事者への感謝の言葉や応援メッセージが書かれている=2021年11月、ホーチミン市内(提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ベトナム国内で輸送業や観光事業を手掛けるPGTホールディングス(PGT)の嘉数昇吾代表=那覇市出身=がこのほど、クラウドファンディング(CF)で募った資金を原資に、同国内の医療機関に無償で交通サービスを提供する取り組みを始めた。グループ企業のサイゴンツーリスト社のタクシー30台と運転手を提供し、医療従事者や感染者の搬送、生活物資の運送を支援している。

 嘉数代表によると、コロナ禍のベトナムでは外出禁止や軍による物資の配給統制など、一時厳しい社会隔離措置が取られた。交通インフラが整っていないことに加え、タクシーなどが自由に利用できないため、感染しても医療機関まで安全に行くことができず困っている人も大勢いるという。

嘉数 昇吾氏

 何か支援できないかと考え、昨年10月にCFを実施したところ、目標金額126万円に対し147万4千円が集まった。資金は人件費や車両整備費、ガソリン代などに充てている。

 CFには沖縄県民や県内企業からも多くの支援が寄せられた。提供車両の車体には、支援した会社の名前やメッセージを明示し、日本からの応援の声をベトナム市民に伝えている。

 嘉数代表は「医療機関の費用軽減と、医療向け搬送体制の増強として利用してもらいたいという思いで実行した」と振り返り、「沖縄の『ゆいまーる』や『ちむぐくる』は海を渡って、ベトナムに届けられた」と支援者へ謝意を述べた。
 (当銘千絵)