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パ・リーグ新人王!オリックス宮城大弥投手ってどんな人?「一生百錬」努力家のこれまでを振り返る


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社

プロ野球パ・リーグの2021年度最優秀新人(新人王)に輝いたオリックス・バファローズの宮城大弥(ひろや)投手(20)=宜野湾市出身、興南高校出身。20年度新人王の平良海馬投手(西武)に続く沖縄県勢受賞となり、その活躍はプロ野球界を大いに盛り上げた。プロ2年目の昨シーズンは急成長を遂げ、23試合に登板して13勝4敗、防御率2.51の成績を収めてチームの25年ぶりリーグ優勝に大きく貢献した。迎える22年度シーズンでの日本一実現に向け、さらなる飛躍への期待が高まる若き左腕から目の離せない1年が始まる。

 

新人王への道のり

2019年のプロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)でオリックスから1位指名を受け、20年にプロ入りした宮城投手。150キロ近い速球と切れ味鋭い変化球を持ち味とする左腕のプロ1年目は、2軍からスタートした。将来を嘱望する首脳陣の期待に応えて6勝し、シーズン終盤に1軍に昇格すると、プロ初勝利を挙げるなど着実な成長を見せた。その一方でチームは2年続けてリーグ最下位に終わった。

そして迎えたプロ2年目の21年度シーズン。開幕前に「たくさん投げてチームの勝利に貢献したい」との目標を口にしていた宮城投手は、開幕2戦目で白星を挙げて以降、先発ローテーションの一角として安定した投球を続ける。力のある速球と鋭い変化球を同じ腕の振りから投げ分ける投球術に、落ち着いたマウンドさばきで白星を重ね、8月には両リーグ最速で10勝目を挙げるなど、“有言実行”の活躍を見せた。

新人王に選ばれたオリックスの宮城大弥投手=2021年12月15日、東京都内(代表撮影)

チームは1996年以来のリーグ優勝を目指し、最終盤までデッドヒートを繰り広げた。宮城投手は11勝目から1カ月以上勝てない時期もあったが、エース・山本由伸投手との二枚看板として粘投を続けて13勝を挙げ、リーグ優勝に貢献。そして日本シリーズの大舞台も経験し、黒星を喫したが好投するなど、若干20歳にしてプロの世界で大きな存在感を示した。

新人王に輝いた宮城投手は「また一からスタート。チーム内でも競争が始まる。負けたくない。成長して戦っていきたい」と意欲を示した。謙虚なその言葉には、4歳で始めた野球へのひたむきな思いがにじむ。来シーズンの具体的な目標には最優秀防御率などのタイトル獲得を掲げた。新年を迎え、母校・興南高校の成人式に参加した際には「今年はチームにもっと貢献したい。けがをせず、1年間やり通したい」と語った宮城投手。野球人として、社会人としてのさらなる成長と飛躍が期待されるシーズンが、間もなく始まる。
 

プロへの歩み

宜野湾ポニーズ時代の宮城投手=2016年

4歳で野球を始めた宮城投手は、中学生時代に所属した宜野湾ポニーズで頭角を現す。チームでは最速134キロの直球を武器に「エースで4番」として活躍。3年生の2016年には「WBSC U―15ワールドカップ」の日本代表に選出され、準優勝に貢献。決勝では、キューバを相手に3イニングを無失点に抑えるなど好投した。

進学した興南高校では1年生から主力投手として活躍し、1、2年生で夏の甲子園を経験。エースとして臨んだ3年生の夏は沖縄県大会で決勝までに計46回を投げ、61奪三振を記録したが惜敗し、甲子園出場を逃した。その年にはU―18ワールドカップの日本代表に選ばれ、再び世界の舞台を経験。チームは5位に終わったが、投打にわたる活躍を見せた。

高校時代で直球は最速149キロに達し、スライダーやカーブなど多彩な変化球も持ち合わせた左腕はプロ野球から注目され続け、「プロ野球選手になりたい」という強い思いは19年のドラフト会議で結実。憧れの舞台への一歩を踏み出した。

夏の甲子園で輝く才能を見せた宮城投手=2018年、阪神甲子園球場
オリックスから1位指名されチームメートから胴上げされる宮城投手(中央)=2019年、那覇市古島の興南高校

宮城投手 人となり

経済的に厳しい中でも野球を続けさせてくれた家族への感謝を忘れずに努力を重ね、プロ野球選手という大きな夢を実現させた宮城投手。契約金の一部を「お世話になったので」と生まれ育った宜野湾市に寄付するなど、社会貢献も忘れない。

高校3年時には、メジャーリーガーのダルビッシュ有投手が自身のツイッターで、宮城投手について「投げ方、球筋、総合的に好きすぎる」と絶賛して話題に。プロ入り後も、白星を重ねて注目が集まり始めた昨年6月、げん担ぎで続けていた長髪を突然丸刈りに変更。僧侶のような姿にファンが「神様、仏様、宮城様」とチーム躍進への期待を込めるなど、誰からも認められる存在になった。

座右の銘は「一生百錬」。野球はもちろん人としても努力を積み重ね、自身を磨き続ける。

 

 みやぎ・ひろや 2001年8月25日生まれ、宜野湾市出身。171センチ、80キロ。左投げ左打ち。志真志小―嘉数中―興南高出。20年プロ野球パ・リーグのオリックス・バファローズ入団。

 


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