【動画】海なのにカワウ 〜カワウ〜 <沖縄・海の生き物たち Vol. 48>


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次々ごくり!魚をまる飲み、お腹いっぱい

冬、浅瀬の小さな生きものは寒さで動きが鈍くなり、干潟のカニなんて全然姿を見せません。その代わり、この時期に元気なのが、渡り鳥たちです。

沖縄に多くの渡り鳥が来るのは冬。北の方から、寒い季節を南で過ごしにやって来ます。糸満の海岸で、潮が引きつつある海を眺めていたら、黒い体の鳥がたくさんいるのが見えました。ウの仲間、カワウです。

海なのに、カワウ? そう、この仲間にはウミウとカワウがいて、くちばしの付け根の黄色いところの形が違います。色も、ウミウは少し緑がかった羽だけれど、カワウは少し茶色がかっているようです。そして、カワウはダム湖などのほか、海岸にもやって来ます。沖縄には、カワウの方がたくさん来るみたいですね。

望遠レンズでカワウを見ていたら、浅くなった場所でどんどん魚を獲っていました。どうやらニザダイの群れがいるらしい。かなり平べったい形の魚を、次々にくわえては飲み込んでいきます。時には、魚にくちばしが刺さっているようにも見えるけれど、器用にくわえ直してごくり。よく喉が詰まらないなぁ。

カワウは羽に脂が少なく、水の中に潜りやすいのだとか。泳ぐ時も体は沈み、首だけ出しています。その分、体が冷えるので、エネルギーを取る必要があり、なかなかの大食漢。大きな魚を食べてお腹いっぱいになったら、岩の上で、羽をだらりと広げて乾かします。

沖縄でカワウが見られるのは11月から2月頃まで。潮の引くお食事タイムを狙って、海岸に鳥の観察に出かけてみてはいかが。

Vol. 48 カワウ

Phalacrocorax carbo

● 目:カツオドリ目 Suliformes

● 科:ウ科 Phalacrocoracidae

● 属:ウ属 Phalacrocorax

 

動画撮影: 

カワウ 2022年1月9日、20日(糸満市 米須海岸)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。