沖縄県内の住宅着工戸数、初の1万割れ 貸家は3年連続で減少


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 国土交通省が1月31日に発表した県内の2021年の新設住宅着工戸数は前年比9.7%減の9668戸と3年連続で前年を下回った。沖縄を調査対象に加えた1973年以降過去最少となり、初めて1万戸を割った。前年との比較で持ち家と分譲は上回ったものの、戸数の多い貸家が資材高騰などを理由に下回り、総数を押し下げる格好となった。持ち家は前年比19.0%増の2782戸となり、2年ぶりに前年を上回った。コロナ禍以前の19年との比較でも4.8%減にとどまっており、新型コロナ禍においても需要は比較的堅調さを見せている。

 賃貸アパートなどの貸家は同22.6%減の4399戸と、3年連続で前年を下回った。資材や人件費の高騰を受けて建築単価が上昇しており、収益性の低下を理由に金融機関からの融資が難航するケースも出ている。

 分譲は同4.0%増の2293戸だった。内訳を見ると、マンションは同0.9%減の981戸とほぼ横ばいで推移した一方、一戸建ては同11.3%増の1302件と需要が高まっている。

 りゅうぎん総合研究所調査研究部の及川洋平研究員は「米国の中央銀行が今後利上げする意向を示している。その影響で円安になればインフレの恐れもあり、今後の金利上昇圧力がどうなるかが懸念される」と話し、住宅価格の先行きについては不透明さがあると指摘した。
 (小波津智也)