香港人の沖縄移住中止が相次ぐ 続く入国制限、県内会社の清算も「県経済への損失」


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 政府が新型コロナウイルス対策として外国人の新規入国制限を続けていることで、投資を目的に沖縄へ移住する予定の香港人らが相次いで計画を取りやめている。県内のある移住コンサルティング会社では、2021年から今年にかけてすでに4組(10人)の香港人らが移住先をイギリスに変更し、県内で登記していた会社も清算した。同社の責任者は「県経済への損失だ。早く入国制限を緩和してほしい」と強く求めた。

2021年8月に「日本政府がわれわれを入国させず、われわれも無期限で待てない。家庭を養うため、正常な生活がほしい。いくら沖縄のいいところを紹介されても、もう意味がない」と、通信アプリのラインで移住コンサルタントとやりとりする香港人の移住希望者(提供)

 2020年7月に、中国政府による香港の統制強化を目的とした香港国家安全維持法(国安法)が施行されたことを受け、県内へ移住を希望する香港人が増えた。同社を通じて移住する香港人も、ほとんどが国安法の影響で海外に新天地を求めた。

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 同社によると、香港人らは永久に本国を離れる決意で、仕事を辞めたほか、全ての財産も売り払った。日本へ入国するため香港のホテルなどで待機し、毎月出費が50~60万円に上ったという。だが、収入がないまま日本への入国の見通しが立たず、香港で1年以上足止めされた人もいたという。

 同移住コンサルティング会社の責任者は「投資目的で来沖する香港人らは、県経済にとってプラスになるはずだった。元々県産品などを海外へ販売する予定の人もいたので、とても残念だ」とため息をついた。

 入国制限が長引くと、今後さらに多くの海外投資家が県内への移住計画を変更する可能性がある。同責任者は「厳しい入国制限が続くと、海外投資家だけではなく、県内中小企業にも大きな影響を及ぼす。水際対策を実施しつつ、ぜひ早めの入国制限の緩和もしてもらいたい」と話した。

 (呉俐君)