離島の教育費、年収超え 公庫調査、200万未満では負担大きく


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は9日、2020年度に沖縄公庫の教育資金を利用した県内世帯を対象とした調査について結果を発表した。世帯年収に占める教育費の負担割合は、年収が低い世帯ほど大きくなり、特に年収200万円未満の世帯では89・0%となった。国の新たな修学支援制度が開始されたこともあり、前回調査(18年度利用者対象)から14・3ポイント低下したが、依然として教育費の捻出が難しい状況がある。

 島外への進学で住居費などの負担がさらに大きくなる離島居住者では、年収200万円未満の負担割合は105・6%で年収を超えている。

 調査は、沖縄公庫が直接教育資金を貸し付けた1934件(うち離島335件)を対象に、入学金や授業料、受験費用、教材費、住居費、交通費などを含めた教育費の支出などを集計した。

 教育費の負担割合の平均は、県全体で入学時が49・2%、在学時が44・8%となり、過去5年間で最も低くなった。20年4月から、国による大学など高等教育の修学支援新制度が実施され、授業料などの減免制度創設や給付型奨学金の支給が拡充されたことから負担が減ったと考えられる。

 利用者の世帯年収平均は県全体で422・8万円、離島は394・1万円だった。学生1人当たりの平均入学費は県全体が149・4万円、離島が182・6万円となった。特に住居費は県全体の32・2万円に対し、離島は60万円と高くなっている。

 沖縄公庫が別に実施した教育資金利用者の意識調査では、新型コロナウイルス感染拡大による進路への影響について、「あった」という回答が20・2%だった。日本政策金融公庫の21年度の調査では、影響があったという回答の全国平均は10・8%だった。沖縄はサービス業が多いという産業構造から、経済的に新型コロナの影響を受けた保護者が多かったと考えられる。
 (沖田有吾)